優越的地位の濫用

優越的地位の濫用

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不当な取引勧誘

木材その他建築用資材、住宅設備機器の売買等を主たる目的とする会社が、50年以上の取引関係にある建材等の販売を主たる目的とする会社に対し、取引先に対する住宅用家電の転売取引を勧誘した際、当該取引先の信用に不安があり、当該取引先に対する売掛金を回収できなくなる可能性を認識していたにも関わらず、これを説明しなかったうえ、予定される取引額について虚偽の説明を行って取引を開始させたことについて、取引上の優越的地位を濫用したものとして、損害賠償請求を認容した事例(東京高裁平成29年3月29日判決)

[コメント]
取引上の力関係からみて、強く勧誘すれば相手方が断りづらい立場にあることを知った上で、取引上の優越的地位を濫用して虚偽の説明や誤認を誘発するような不適切な説明を行うことは、違法行為にあたるとしました。

見切り販売(セブン-イレブン・ジャパン事件(1))

(1)コンビニエンスストアのフランチャイズの本部が加盟店に対し、弁当などの品質が劣化しやすい飲食品の見切り販売を妨害したことが優越的地位の濫用にあたるとされた事例(公取委平成21年6月22日排除措置命令)
(2)上記(1)について、加盟店の本部に対する独占禁止法25条に基づく損害賠償請求の一部が認容された事例(東京高裁平成25年8月30日判決)

[コメント]
(1)について
コンビニエンスストアにおける売れ残り商品の見切り販売を制限する行為が、廃棄ロス原価を含む売上げ総利益がロイヤルティ算定の基準となっている場合に、加盟店が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている点で、フランチャイザーが加盟店に対して、正常な商慣習に照らして不当な不利益を与えるものであって、優越的地位の濫用にはあたるとしました。
(2)について
優越的地位の濫用に該当する事案において排除措置命令が確定した場合には、独占禁止法25条の規定により損害賠償責任が認められる可能性が高く、現行法ではさらに課徴金納付命令がなされることとなるため、取引上優位な立場にある事業者にとって巨額の経済的負担が発生するリスクが高まっています。

深夜営業などの強制(セブンーイレブン・ジャパン事件(2))

コンビニエンスストアのフランチャイズの本部が加盟店に対して公共料金収納代行サービスなどに係る業務及び深夜営業を行うことを求める行為について、独禁法上の優越的地位の濫用に当たらないとされた事例(東京地裁平成23年12月22日判決、東京高裁平成24年6月20日判決)

[コメント]
コンビニエンスストアにおける公共料金収納代行サービスや深夜営業は、フランチャイズチェーンの利便性に関するイメージの重要な要素であり、本部が加盟店に対して、基本契約などに基づき同業務を求めることは、正常な商慣習に照らして不当な不利益を与えるものではなく、優越的地位の濫用にはあたらないとしました。

従業員の派遣要請など(スーパーマーケット-ラルズ事件)

スーパーマーケットチェーンが納入業者に対し、従業員派遣及び商品の購入の要請をしたこと並びに協賛金を負担させたことが優越的地位の濫用に該当するとして排除措置命令及び課徴金納付命令(12億8713万円)がなされた事例(公取委平成25年7月3日排除措置命令・課徴金納付命令)

取引対価の一方的決定

飲食店のフランチャイザーが店舗施工業者に対する優越的な地位を利用して決定した不当な減額代金合意が公序良俗に反し一部無効であるとして、同施工業者の破産管財人による不当利得返還請求を認めた事例(大阪地裁平成22年5月25日判決)

[コメント]
優越的地位を利用して決定された合理性のない合意は公序良俗に反し無効であると判断される可能性が高く、後に取引先から民事上の責任を問われるリスクがあります。

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独禁法・下請法ネットワーク@名古屋 事務局

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