製造業

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卸売業と製造業の区別

当社は、ある機械の製造を全て他社に委託し自社ブランドで販売しておりますが、事業者団体の申し合わせで最低販売価格を取り決めたことが不当な取引制限にあたると指摘されました。そうなると課徴金納付命令を受けることになると思いますが、その算定率は、卸売業者として2%になるのか、製造業者として10%になってしまうのか、どちらなのでしょうか。

貴社は商品の製造を全て他社に委託されているとのことですので、形式的には卸売を行っていたことになります。この点、卸売業について課徴金の算定率が軽減されているのは、流通業の利益率が他業種より低くならざるを得ない実態を考慮したものですが、形式的には製造を他社に委託している場合でも、その商品開発そのものを自社で行っていたり、主な部品を自社が調達していたり、製造工程に深く関与していたりして、実質的には卸売業の範囲にとどまらない製造業者としての活動をも行っていたと認められる場合は、課徴金算定率の決定にあたっても、卸売業以外の事業を行っていたと認定されてしまうことがあります。

(朝倉寿宜)

知的財産権と独占禁止法の関係

Q

特許権、商標権などの知的財産権は、独占禁止法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A

独占禁止法21条は、「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為については適用しない」としています。 
特許権、商標権などの知的財産権は、権利者のみが権利を行使することができる(排他的利用権)ことを踏まえ、知的財産権を保護する目的で、知的財産権の行使と認められる場合には独占禁止法を適用しないことにして、両者の調整を図っています。このため、独占禁止法との関係においては、知的財産権の行使と認められるか否かの判断が重要となります。
なお、知的財産権と独占禁止法との関係については、公正取引員会が、「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」を提示しています。

(宮田智弘)

ライセンス契約における原材料・販売先等の指定

Q

特許権、商標権などのライセンス契約において、(1)原材料の品質又は購入先を制限すること、(2)製品の販売先を制限することは、それぞれ独占禁止法上問題ありませんか。

A

特許権、商標権などのライセンス契約において、原材料の品質又は購入先を制限することは、当該技術の機能・効用の保証、安全性の確保、秘密漏洩の防止の観点から必要であるなど、一定の合理性が認められる場合がありますが、その必要な限度を超える制限は、知的財産権の権利の行使と認められず、独占禁止法上問題となるおそれがあります(一般指定第10項、第11項、第12項)。
他方、ライセンサーの指定する業者のみに製品を販売させるなど、製品の販売先を制限については、上記のような合理性を認め難いため、知的財産権の行使と認められない場合が多いといえます(一般指定第2項、第11項、第12項)。

(宮田智弘)

ライセンス契約における製品の製造量の定め

Q

特許権、商標権などのライセンス契約において、ライセンス技術を利用した製品の製造量の上限ないし下限を定めることは独占禁止法上問題ありませんか。

A

特許権、商標権などのライセンス契約において、ライセンス技術を利用した製品の最低製造数量又は技術の最低使用回数を設定することについては、ライセンス料の確保などの一定の合理性は認められることから、他の技術の利用を排除することにならない限り、原則として独占禁止法上問題となりません。他方、ライセンス技術を利用した製品の製造数量又は使用回数の上限を設定することについては、製品の供給が制限されることにつながり、これによって市場における競争が制限されるおそれがあるため、不公正な取引方法に該当する可能性があります。

(宮田智弘)

下請法による規制の内容

下請法の適用がある場合にはどのような規制があるのですか。

下請法の適用がある場合には、まず、注文書等の書面の交付義務(同法3条)、書面の作成・保存義務(同法5条)、受領から60日以内の支払期日の設定義務(同法2条の2)、遅延利息(現在は14.6%)の支払義務(同法4条の2)が課せられます。
また、支払遅延(同法4条1項2号)、下請代金の減額(同3号)、買いたたき(同5号)、購入強制(同6号)、報復措置(同7号)、割引困難な手形交付(同法4条2項2号)、経済上の利益の提供要請(同3号)、不当なやり直し(同4号)が禁止されます。

(山田洋嗣)

下請法違反の効果(1)(60日以内の支払義務違反について)

下請法が定める受領から60日以内の下請代金の支払いをしなかった場合、どうなりますか。

下請法が定める義務のうち、受領から60日以内の支払期日の設定義務と遅延利息(現在は年14.6%)の支払義務については、それに反する合意は私法上当然に無効であり、上記利率の遅延利息の支払いが強制されます。
従って、仮に受領から60日より長い期間の支払期日を合意していても、受領から60日経過すれば支払いをしなければならず、60日経過後については年14.6%の割合による遅延損害金が発生することになります。

(山田洋嗣)

下請法違反の効果(2)(60日以内の支払義務違反以外の違反について)

下請法の定める義務・禁止行為のうち、受領から60日以内の支払期日の設定義務と遅延利息(現在は年14.6%)の支払義務以外の義務・禁止行為に違反した場合の効果を教えて下さい。

まず、受領から60日以内の支払期日の設定義務と遅延利息(現在は年14.6%)の支払義務以外の下請法が定める義務・禁止行為に違反する合意をした場合は、同合意が私法上当然無効になるわけではありませんが、「不当性が強い場合」には公序良俗に反して無効となり得るとされています。例えば、単価引き下げの合意をした場合、その合意成立前に既に発注されている給付に新単価を遡って適用して代金を減じることは、遡及適用の期間、新単価との差額等を勘案して不当性が強い場合に当たるとされる場合があります(東洋電装事件・東京地裁昭和63年7月6日判決)。
また、下請法違反の行為が、不法行為上違法と評価できる場合等については、損害賠償請求を受ける場合もあります(エビス食品企業組合事件・最高裁 昭和47年11月16日判決参照)。

(山田洋嗣)

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独禁法・下請法ネットワーク@名古屋 事務局

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