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大規模小売業

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大規模小売業の取引に関する規制

大規模小売業者が、取引先の納入業者と取引する際、どのような規制がありますか。

大規模小売業者には、納入業者との関係で、以前より大規模小売業告示という特殊指定(政令)による規制があり、大規模小売業者による不公正な取引方法を取り締まっています。また、独禁法が、平成21年の改正で、不公正な取引方法となる行為類型を規定して(同法2条9項5号)、課徴金の制裁のもとに厳しく取り締まるようになりました。さらに、委託取引では、事業者の資本金の区分によって、下請法の適用があることもあります。 

(臼井幹裕)

大規模小売業告示の内容

大規模小売業告示(特殊指定)による規制は、どのような内容ですか。

大規模小売業告示は、大規模小売業者による優越的地位の濫用行為を規制するルールとして作成されたものです。具体的には、不当な返品や値引き、不当な委託販売取引、特売商品等の買いたたき、特別注文品の受領拒否、押しつけ販売、納入業者従業員等の不当使用、不当な経済上の利益の収受などがあります。
ただ、このような行為について、平成21年の独禁法改正以降、大規模小売業に限らず、広く事業者の「優越的地位の濫用」行為を法律で取り締まることとしました。この法律による規制が大規模小売業告示に優先して適用されますので、独占禁止法の規制にも注意が必要です。

(臼井幹裕)

独禁法上の「優越的地位の濫用」の行為類型

大規模小売業者は、どのような行為をすれば、独禁法上の優越的地位の濫用にあたりますか。
 

独占禁止法では、「優越的地位の濫用」の行為を類型化して、第2条9項5号のイロハの3つにかき分けて規定しています。イは、購入・利用強制、ロは協賛金等の負担要請、従業員などの派遣要請、その他経済上の利益の提供の要請を禁止しています。また、ハは、受領拒否、返品、支払遅延、減額、その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定・変更を禁止しています。
過去には、百貨店による納入業者に対する商品の購入、協賛金の強要に関する事件(三越事件・公取委昭和57年6月17日同意審決)がありますので、参考にして下さい。また、規制の強化にともない、事業者に法の適用が予想できるよう、より詳細な運用に関しては、優越的地位の濫用ガイドラインを定めています(「ガイドライン」の詳細は「優越的地位の濫用ガイドラインについて」のQ&Aをご参照下さい)。

(臼井幹裕)

優越的地位の濫用ガイドラインについて

大規模小売業者は、納入業者との取引で「優越的地位の濫用ガイドライン」に気をつけろと言われましたが、ガイドラインとは何ですか。

「優越的地位の濫用ガイドライン」とは、公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(平成22年11月30日)のことです。独禁法2条9項5号イロハにある「優越的地位の濫用」行為の類型にあたるか否かの判断を分かりやすくするために、公正取引委員会が指針を定めたものですから、法律と同じくらい大事なものです。
例えば、協賛金等の負担の要請に関して、大規模小売業者が、納入業者に対し、納入業者の販売促進に一定程度つながるような協賛金であっても、『納入業者が得る直接の利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えて』これらを提供させることは、優越的地位の濫用として問題となるとしています(ガイドラインの2条9項5号ロの「協賛金等の負担の要請」の解説)。
なお、ガイドラインの詳細は、公正取引委員会の下記URLを参照下さい。
   https://www.jftc.go.jp/hourei.files/yuuetsutekichii.pdf

(臼井幹裕)

大規模小売業者からの従業員派遣要請

大規模小売業者が、取引先に販売活動の協力を求めるため、従業員の派遣をお願いしたい場合には、どのように対応したらよいでしょうか。

取引先に従業員の派遣をお願いすることが、不公正な取引方法に該当することがありますので、対応には注意が必要です。例えば、取引先の負担が、派遣を通じて受ける売上げ増の見込みなどの直接の利益を勘案して均衡を失する(合理性を欠く)ことのないようにする必要があります。
また、どのような場合に、どのような条件で派遣するかについて、例えば、派遣を要請する大規模小売業者は、取引先との間で、派遣の期間、派遣の人数、作業内容(取引先の製品の陳列、補充、商品説明の作業に限るなど)を明確に合意する必要があります。その従業員などの派遣のために通常必要な費用も、大規模小売業者が負担するようにすべきです(ガイドラインの2条9項5号ロの「従業員等の派遣の要請」の解説を参照下さい)。

(臼井幹裕)

大規模小売業者への課徴金の額について

大規模小売業者が、優越的地位の濫用行為によって課徴金を課される場合に、その額はどのように算定されますか。

独禁法の平成21年改正以後、優越的地位の濫用行為に対して課徴金が課されるようになりました。課徴金は、「当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間」(最長3年間)における「当該行為の相手方」との間における売上額・購入額の合計に1%を乗じた額ととされています(独禁法20条の6)。
平成26年1月末現在まで、山陽マルナカ、日本トイザらス、エディオン、ラルズの4つの事件について課徴金納付命令が発せられ、2億2216万円、3億6908万円、40億4796万円、12億8713万円といずれも高額な課徴金となっています。これは、濫用行為の対象商品ごとではなく、違反事業者と濫用行為を受けた相手方の取引額全体を算定の対象としていることによります。

(臼井幹裕)

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