卸売業

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卸売業と製造業の区別

当社は、ある機械の製造を全て他社に委託し自社ブランドで販売しておりますが、事業者団体の申し合わせで最低販売価格を取り決めたことが不当な取引制限にあたると指摘されました。そうなると課徴金納付命令を受けることになると思いますが、その算定率は、卸売業者として2%になるのか、製造業者として10%になってしまうのか、どちらなのでしょうか。

貴社は商品の製造を全て他社に委託されているとのことですので、形式的には卸売を行っていたことになります。この点、卸売業について課徴金の算定率が軽減されているのは、流通業の利益率が他業種より低くならざるを得ない実態を考慮したものですが、形式的には製造を他社に委託している場合でも、その商品開発そのものを自社で行っていたり、主な部品を自社が調達していたり、製造工程に深く関与していたりして、実質的には卸売業の範囲にとどまらない製造業者としての活動をも行っていたと認められる場合は、課徴金算定率の決定にあたっても、卸売業以外の事業を行っていたと認定されてしまうことがあります。

(朝倉寿宜)

帳合取引

当社は、メーカーA社の製品を扱う卸売業者ですが、販売先の小売店を指定されており、他の小売店に売ることが禁じられています。また、卸売価格の報告が義務づけられており、安すぎると取引停止を警告されます。これは許されることなのでしょうか。

卸売業者に対し販売先の小売店を指定する帳合取引の義務づけは、流通過程の系列化・明確化のための手段として用いられることがあり、アフターサービスを円滑に行えるようになるなどのメリットもありますが、それが小売価格の維持を目的として行われると、再販売価格の拘束(独禁法2条9項4号)として独禁法上問題となります。卸売価格を報告させ安価での取引に対し警告を発するというのは、小売価格の維持を目的としたものである可能性が高く、違法な再販売価格拘束にあたると思われます。
 また、A社が市場における有力な事業者で、帳合取引の義務づけに合理的な理由が見いだせない場合は、それ自体が拘束条件取引(同項6号ニ)として違法となることもあります。

(朝倉寿宜)

抱き合わせ販売

当社は、ゲームソフトの卸売業者ですが、シェアは1割以下です。大人気ソフトの新発売にあたり、各小売店への割当本数を、別のソフトを一緒に購入してくれた本数に比例して決めたいと思います。当社のような小規模な会社でも、独禁法違反になるのでしょうか。

相手方に対し、不当に、商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させることは、抱き合わせ販売として不公正な取引方法となります(独禁法2条9項6号ハ・ホ、一般指定10項)。貴社の計画は、不要な商品の購入を事実上強制するもので、抱き合わせ販売の一つといえます。
 この点、「公正な競争」の一要素である、価格・品質・サービスによる競争(能率競争)の実現を妨げる事業者が、必ずしも市場における有力者であるとは限りません。本件のように、商品そのものが強力な市場力を有している場合は、買い手がその商品を購入するために望まぬ商品の購入をも強制されることが容易に生じ得ます。商品そのものの市場力を利用して、買い手から商品選択の自由を奪い、他の商品の購入を強制することも、抱き合わせ販売として違法となります。

(朝倉寿宜)

並行輸入業者との取引拒否の義務づけ

海外商品の輸入総代理店として、販売店に対し、当社が取り扱う商品の並行輸入品を一切販売しないと誓約させることは、独禁法上問題がありますか。

拘束条件付取引(独禁法2条9項6号ニ、一般指定12項)として許されない可能性が高いです。
拘束条件取引とは、「相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること」を規制するもので、「不当性(公正競争阻害性)」を有する場合に違法とされます。
この点、並行輸入品を扱うかどうかは本来販売業者が自由に決定すべきものであり、かかる誓約をさせることが価格維持目的で行われる場合は、不当性ありとされます(流通慣行ガイドライン前掲第三・2(2))。そして、並行輸入品の取扱いを禁じる目的が正規輸入品の販売価格の維持にある場合は、拘束条件付取引として違法となります。

(朝倉寿宜)

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