建設業

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談合に該当するか否かの判断

どのような場合に談合に該当することになりますか。

談合(「不公正な取引制限」(独禁法2条6項))が成立するには、「他の事業者と共同して」の要件に該当する必要があります。ただし、意思の連絡は黙示のもので足りるとされ、その有無は、前後の諸事情を勘案して当該事業者の意思を検討し相互に共通の認識・認容があるか否かにより判断するとされています(東京高裁平成7年9月25日判決・判タ906‐136)。
例えば、同業者で構成される「〇〇会」という会合がある場合において、受注予定者の具体的な決定方法などの明示的な取決めがされていないときでも、同会の設立経緯、同会での話合いの内容、受注予定者への協力状況などの周辺事情から、黙示の意思連絡が認められ、談合にあたると判断されることもあります(東京高裁平成8年3月29日判決参照)ので、このような会合がある場合、参加するか否かは慎重に判断する必要があります。

(與吾純平)

談合に対する制裁

談合行為をした場合に、どのような制裁を受けますか。

独禁法に基づく刑事罰、排除措置・課徴金の対象とされていることの他、監督官庁により許可取消しや営業停止処分を受けたり、発注者から入札参加資格停止、指名停止とされることもあります。
また、発注者から民事上の損害賠償請求を受けたり、株主から代表訴訟を提起されることもあります。   

(與吾純平)

談合事件における損害賠償額の算定

談合事件における損害賠償額はどのように決められますか。

違約金条項がある場合は、同条項により決められますが、違約金条項がない場合、談合があることにより、談合がないときに比べ、落札額が高くなりますので、談合がないときの想定落札額と実際の落札額の差が損害額となります。
損害賠償請求する側で損害額を立証する必要がありますが、談合がないときの想定落札額を立証するのは困難であるため、裁判所が民訴法248条に基づいて相当な損害額を判断しています。
裁判例上は、損害額として、契約金額等の5%から10%を認定している例が多いようです(名古屋地裁平成21年8月7日判決・判タ1330‐247(8%)、同平成21年12月11日判決・判時2072‐88(5%)など)。なお、「競争政策について・竹島公正取引委員会委員長・平成16年3月11日」も参考になります。

(浅賀 哲)

談合の損害賠償請求における資料収集手段

談合事件の損害賠償請求にあたり、どのような資料収集の手段が利用できるでしょうか。

公正取引委員会の審判手続が開始された後は、利害関係人は、公正取引委員会に対し、事件記録の閲覧・謄写などを請求することができますので(独禁法70条の15)、これにより損害賠償請求のための証拠を入手することが可能です。

(浅賀 哲)

下請業者を利用する際の留意点

当社は建設業を営んでいますが、下請業者を利用する際にはどのような点に留意すべきでしょうか。

建設業は下請法の定める「役務提供委託」等から除外されていますので(同法2条4項かっこ書き)、同法の適用はありませんが、建設業法と独禁法の適用があります。
まず、建設業法との関係では、(1)見積実施の義務化と適切な見積期間の設定強制(同法20条)、(2)請負契約の内容の法定及び書面交付の義務化(同法19条)、(3)不当に低い請負代金の禁止(同法19条)、(4)不当な使用資材等の購入強制の禁止(同法19条の4)、(5)下請代金支払遅延の禁止(同法24条の3、24条の5)、(6)検査及び引渡しの規制(同法24条の4)などの規制があります。具体的には、建設業法令遵守ガイドライン〈再改訂〉(‐元請負人と下請負人の関係に係る留意点‐、平成24年7月国土交通省土地・建設産業局建設業課)に留意する必要があります。
また、独禁法との関係では、独禁法19条の規定の適用に関して、公正取引委員会が示している「建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準」(昭和47年4月1日事務局長通達第4号・平成13年改正)に留意する必要があります。

(與吾純平)

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独禁法・下請法ネットワーク@名古屋 事務局

  • 愛知県弁護士会所属
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