金融機関

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金融機関の優越的地位の濫用について

金融機関が融資先に対して、「優越的地位」にあると認められるのは、どのような場合ですか。

平成22年に公正取引委員会から公表されたガイドライン(「優越的地位の濫用に関する独占禁止法の考え方」)は、「優越的地位」の判断要素として、(1)取引依存度、(2)市場における地位、(3)取引先変更の可能性、(4)その他取引することの必要性を示す具体的事実を挙げており、同ガイドラインで引用されている三井住友銀行事件(公取委平成17年12月16日勧告審決-経済法判例・審決百選84)においても、同銀行の融資先に対する金利スワップ販売行為について、前記判断要素を考慮して、同銀行の「優越的地位」が認定されました。
よって、融資先のメインバンクとなっている金融機関は、当該融資先が他の金融機関から融資を受けることが困難な状況に陥っている場合には、当該金融機関は「優越的地位」にあると認められる可能性が高いといえます。

(福本 剛)

金融機関が優先的地位にあるときの、濫用行為について

金融機関が融資先に対して「優越的地位」にあると認められる場合、金融機関のどのような行為が「濫用行為」に該当するのですか。

金融機関が、優越的な地位を利用して正常な商慣習に反して、独占禁止法2条9項5号イ~ハに該当する行為(次問の(1)~(3))を行えば、「濫用行為」に該当し課徴金の対象となります。
また、金融機関が、独占禁止法2条9項6号ホに基づく公正取引委員会による一般指定13項に該当する行為(次問の(4))を行えば、優越的地位の濫用に該当します(課徴金の対象にはなりません)。

(福本 剛)

金融機関の濫用行為について

各濫用行為の具体例を教えてください。

各濫用行為について、金融機関の具体的な行為を挙げるとすると以下のとおりです。
 (1) 購入・利用強制
 (例)金融機関の融資力を背景とした融資先に対する金融商品の販売行為
 (2) 経済上の利益の提供要請
 (例)金融機関が、融資力を背景に融資先に対して手数料等の名目で合理的理由のない金銭の支出を求めたり、決算期末における融資残高や預金残高を増大させる目的のもと融資先にとって不必要な融資の引き受けや預金の預け入れをさせる行為
 (3) 不利益な取引条件の設定・変更・実施
 (例)金融機関が、融資先の責に帰すべき正当事由がないのに、取引条件を変更して金利を引き上げたり、期限前返済を求めたり、追加担保を要求する行為
 (4) 経営への不当干渉(一般指定13項)
 (例)金融機関が、債権保全に必要な範囲を超えて、融資先の役員選任に不当に干渉する行為

(福本 剛)

金融機関の融資先への販売について

金融機関が融資先に対し金融商品を販売する際に、気を付けるべき点はどういう点ですか。

当該金融機関が、融資先のメインバンクとなっている場合などには、融資先との関係において優越的地位が認められる可能性が高いといえます。
そのような場合、当該金融機関の融資先する金融商品の購入要請が、融資先から追加融資の要請を受けた時期、既存融資の切替時期等、融資先が当該金融機関からの要請を断りづらい時期になされたのであれば、優越的地位の濫用にあたると判断される可能性は高いと思われます。

(福本 剛)

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