私的独占

私的独占

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他の事業者の事業活動の排除(NTT東日本事件)

支配的通信事業者が、自ら設置した光ファイバ設備を、加入者に直接提供しつつ、競業者である他の電気通信事業者に提供するにあたり、光ファイバ設備接続市場における事実上唯一の供給者としての地位を利用して、競業者が経済的合理性の見地から受け入れることのできない接続条件(ユーザー料金が当該接続料金を下回る)を設定したことは、競業者が光ファイバ設備を用いた戸建て住宅向け通信サービス(FTTHサービス)市場への参入を著しく困難にするものであり、独禁法2条5項にいう「他の事業者の事業活動を排除」する行為にあたるとされた事例(最高裁第二小法廷平成22年12月17日判決・判時2101-32)。

[コメント]
本判決は、東京高裁平成21年5月29日判決の結論を支持し、上告を棄却しました。

音楽著作権管理業者による私的独占(JASRAC事件)

音楽著作権管理業者が、放送局に対し、その管理する楽曲全体について包括的にその利用を許諾するとともにその利用料を包括的に算定して徴収していたところ、同利用料が当該音楽著作権管理業者の管理する楽曲以外の楽曲の利用の有無・割合にかかわらず同一であり、これにより放送事業者が他の音楽著作権管理業者にも利用料を支払う場合には、その負担する利用料の総額がその分だけ増加することになることが、私的独占にあたるとした排除措置命令(公取委平成21年2月27日排除措置命令)が取り消された事例(公取委平成24年6月12日審判審決)

[コメント]
本審決は、私的独占にあたるか否かについて「本件行為…が、…自らの市場支配力の形成、維持ないし強化という観点からみて正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性を有するものであり、競業者の…参入を著しく困難にするなどの効果を持つものといえるか否かによって決すべきものである」と最高裁第二小法廷平成22年12月17日判決を引用しつつ、本件における諸般の事情を総合的に考慮して、本件行為は私的独占にはあたらないとしました。
なお、本審決については、その後東京高裁に対し審決取消訴訟が提起され、平成25年11月1日に上記審決を取り消す旨の判決が下され、上記高裁判決に対しては平成25年11月13日上告等が申し立てられています。

上記事件について、最高裁は、平成22年2月17日のNTT東日本事件最高裁判決を引用して、当該音楽著作権管理業者の行為は自らの市場支配力の形成、維持ないし強化という観点からみて正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性を有するものであり、他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にする効果を有するとして上記の東京高裁判決に対する上告を棄却した(最高裁第三小法廷平成27年4月28日判決)。

[コメント]
上記の公取委審決も、NTT東日本事件最高裁判決を引用し、事実認定の部分において「新規参入を著しく困難にすることを認めるに足りる主張立証はない。」と判断していることからすれば、上記の公取委審決と上記の最高裁判決の判断が異なるのは、事実認定の違いによるものであると考えられます。

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独禁法・下請法ネットワーク@名古屋 事務局

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